
おいしい肉にかける人間の執念
私たちが日頃口にしている食物はどのようにして作られるのだろうか。
意外と知られていないのではないか。
一昔前に魚は切り身のまま泳いでいるという嘘か定かでない話もあったが、流石に肉に関してはその元々の生き物の姿がわからないことはないだろう。
そこでもう一歩進めて考えてみたい。
どのようにおいしい肉になるように育てられるのか。
こうなるとすぐに答えられない人が多くのなるのではないか。
私もその一人である。
副題の通り「牛、豚、鶏たちがおいしい食材になるまで」を丹念に著述したのが本書である。畜産が専門の著者であるから、当然であるが品種や育種、育成についての話題が主である。自分とは関係があるものの普段知らない世界をかいま見ることが出来たのは知的な満足感があった。人間が食べるために如何に品種改良していくか。その過程は自然の偉大さと人間の知恵の歴史と言えよう。どちらがかけても今のようなおいしい肉は出来なかっただろう。
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